No.1 「日本国風紀委員会を応援します」

今の若い者は..
という言葉は、アリストテレスの時代にも言われているそうだが、 それにしても最近の我が国の若者達は、あまりに自己中心的で傍若無人な振る舞い目立つ ようになった。
それがゆえに、公共広告機構のCMで「自己虫」なるものが登場する ことになったのであろう。
人様に迷惑をかけてはいけない
ということは、昔は、親から教えられたことだった。

ところが、このところ家庭でも、学校でも、地域でも、社会全般で子どもの教育を放棄してしまった 感がある。
暫く前には、人の迷惑を顧みず、あたり構わずワガモノガオで押し通し、周囲の人も、
(しょうがないなぁ)
と感じていたのは、渡世人とオバサンくらいであろう。

ここでいうオバサンは、上品な或いは普通のご婦人方とは別人種であるので、予め お断りしておく。

人込みの中を、持ち物を横に大きく振り回しながら突き進んで行くオバサン。
電車の中で、何か足が冷たいな、と思っていると、傘の先からたらたらと滴(しずく) を流し込んでいるオバサン。
順番待ちで遥か後ろまで行列しているのに、「ここが一番後ろですか」と聞きまわる オバサン。
電車で座っていると、ひとの顔に紙袋をどんどん押し付けてくるオバサン。
ところが、モラルが低下して久しく。
かつてのオバサン族も昨今はかすんでしまった。

人込みの通路、階段に平気でしゃがみ込む若者。
電車やエレベータの中でもヘッドホンステレオから漏れ出る「ズンチャカズンチャカ」 というミュージック。
バッグを背負ったまま満員電車に平気で乗り込んで来る乗客。
人に迷惑が掛るという以前に、 自分の荷物が押し潰されるということを何とも感じないのであろうか。

話を戻せば、自分の荷物がどうなってもそれは本人の勝手として、それで他人が嫌な思いを することに気が回らない神経が問題である。
悔しいかな、そんな乗客のバックほど、やたらと硬い中身であるところが、 マーフィーの法則っぽいといつも思うのだ。

そんな中で、今や頼りにするのは、毎日多くの人に注意を呼びかけている
「日本国風紀委員会」、ご存知「JR」をおいてほかに無いとさえ思うようになった。
JRの本来業務については、ここでは一切触れることはしない。
バックの持ち方、ヘッドホンステレオの音量、乗り降り時のドア付近の対応、 痴漢や破壊、暴力行為は犯罪であることの教え、などなど。考えてみれば当たり前の ことばかり。

価値観にしても、ただ今が楽しければいい。
まじめな受け答えをすると、つまんない、 面白くないという、風潮。
これまで美徳とされた「一所懸命」や「努力」 ということが、市民権を失ってしまったかのようである。

刹那的快楽主義の大宣伝をテレビ番組やお笑いタレント達が中心にして日本人 の価値観を変えてしまったのである。
非常に洞察力の優れた人が指摘するように、実はこれは日本国民を堕落させるための、 某国の巧妙な陰謀説であるという、うがった見方を信じたくもある。 今や日本人は、言葉遣いも態度も、だだっ子の幼稚園児化してしまったのである

そこで
この際、さらにさらに、踏み込んで、
青少年の育成、マナー向上、道徳心の養成の教育機関として、JRを正式に認定しては 如何なものか..
もはや、日本の将来を救えるのはJRしかない!とギャグ的発想であるが、このように感じる、やけに淋しい我が国の実状なのである。

(2000年12月記)