No.2「生きてます、15歳」を読んで

 

私の子ども達にも勧められる本はないものかという観点で、暫く前に 高橋尚子選手のことを書いた「君ならできる」(小出義雄)を購入した。
2冊目は、ここに紹介する「生きています、15歳」である。

書店で、本の表紙の井上美由紀ちゃんが目に飛び込んできて、副題には 「500gで生まれた全盲の女の子」とある。
このとき、しろつめ草を持ち、微笑みを浮かべる少女に強くひかれたのである。

ページを開くと、
「私は父の死とひきかえに、この世に生まれてきました」
という衝撃的な出だしから、最後の最後まで本当に感動の連続であった。
全盲でも、美由紀ちゃんは、自転車にも乗れるし、包丁を使って料理もできる。 水泳やマラソン、トランポリンもやる。
遊園地でジェットコースターに乗るこもとも大好きなとても前向きな女の子である。

母親は、美由紀ちゃんが一人でも生きていけるように、心を鬼にして厳しく 育ててきた。
母も子もつらい出来事の連続であるが、そんな中にも楽しみや夢を 失わずに、自立を目指して頑張っている。母子のやりとりはすべてが深い愛情表現であり、互いが強い 絆で結ばれている。15歳の少女と思えない、強い精神力、物の考え方に心から敬服 せざるを得なかった。

長い間、胃痛で苦しみ、「自殺してやる」と叫んだときに、母親から本当に首を 絞められてしまう。
お母さんが、涙ながらに語った自分の生い立ちに、美由紀ちゃんの心は動かされた。
実は、お母さんも想像を絶する波乱万丈の半生をおくってきたのである。

~本文から~ 
「やさしくしてもらったら、ただラッキーと思おう。
 つきとばされたら、ま、ケガしないだけよかった、と思おう。
 それでいいんだ、とおもえるようになり、私も、精神的に、 たくましくなってきたと思います」

「神さまは、人にできない苦労はさせないっていうから、きっと神さまにみこまれたんだね」
(母親が自分の生い立ちに対して) 

「人に役立つ、福祉の仕事をしたい」

「私が自分の夢を実現して、自立したら、私のかせいだお金で、母を温泉に つれていってあげたい。 ・・ 私を育ててくれた母に、アゲゼン、スエゼンの おいしいゴチソウ、そして温泉でのくつろぎタイムをプレゼントしたい。それも私の夢です」

私の長女も現在同じ15歳である。次女は14歳、そして三女は10歳。
五体満足にして生まれた。

美由紀ちゃんの夢はさらに膨らんで行くことであろう。
神仏に願いが通じるならば、どうぞこの親子の夢をかなえて下さいますようにと 祈らずにはいられない。

(2000年12月記)