No.7 「黄金の日々」

最近は、テレビというものを殆ど見なくなった。
ひとりでゆっくりと見てみたい番組もあるが、今のところその様な環境に 無いからが仕方がない。

ただ唯一、NHKの大河ドラマだけは楽しみにしている。
私が大河ドラマを見始めたのは、社会人になってからだ。
日曜の夜には寮の長老?方とリビングのソファーにもたれて楽しんだ。
「風と雲と虹と」、「花神」、「黄金の日々」。
横浜で過ごした青年時代を思い出す。

納戸から古いレコードを引っ張り出してきた。
「NHK大河ドラマ 花の生涯から草燃えるまで」という随分昔に買ったLPレコードがあった。
音楽というものは、不思議な力がある。
懐かしいリズムは、一瞬のうちに遠い過去の思い出を呼び覚ます。

犬や猫は昨日のことも明日のことも考えられないという。
タイムマシーンは今のところ存在しないが、人間は頭の中で好きな時代や想像の世界そして 自分の過ごした過去の世界へと思いを馳せることができる。
犬や猫からみたら、タイムマシーンを手にしているようなすごいことかも知れない。

そのレコードを久しぶりにかけてみた。
不思議にあの頃のことや心境が甦る。
無我夢中だった若き時代。
自分の生きざまを探していたあの頃。
先輩諸氏と飲んで騒いで夜明けまで議論したあの日。
何故かみんなもてなかったが、男の夢とロマンを追い求めていた懐かしい面々。
最高に懐かしい、横浜での日々。

大人のロマン、男のロマンは、大河ドラマの中にもあった。
豪華絢爛たる男優、女優。
そして映像の時代の中で優雅に旅するような爽快感を味わった。

いま、林光の「花神」を聴き、池辺晋一郎の「黄金の日々」を聴いていると、 ゆったりと心静かな時空の中を遊泳しているようだ。

現在放映されている「北条時宗」のテーマ曲を何年か先に聴いたときに、 ゆったりとした黄金の日々の満足感が味わえるといい。

(2001年記)