No.2「チョウさんありがとう」

誰にでも忘れられないシーンがある..。
思い込んだら試練の道を行くが男のど根性・・・。
あの、偉大にして永久不滅のど根性漫画、「巨人の星」にも実話として登場したシーン。

そのとき少年は、テレビにくぎ付けになっていたのであります。
なぜか、「伝統の一戦」と言われる巨人対阪神戦だったと思います。
まだ外国人選手が少なかったころですが、バッキーという投手がいました。
そのとき彼は、ON(王、長島)と対戦したのですが、ビーンボールもどきの危険なボールの後、 狙ったのか手が滑ったのか王選手の頭を直撃。
一本足打法のホームラン王は担架で退場するという事態になったのであります。

選手や観客は騒然となりしばらく中断。
「ばかやろう!卑怯者!アメリカへ帰れ~!」
球場全体が怒りの渦に包まれました。
そこに静かに登場した、いわゆるひとつの「チョウさん」こと流し目さん、 いや長嶋さんがそのバッキーから目のさめるようなホームランを放ったのであります。

昔は、ガッツポーズなんかはいたしません。
黙々とベースを走るわれらがチョウさんの姿に、王さんファンの少年も涙が出るほど感動 したものでございます。
「男は黙ってサッポロビール的一発」が懐かしく思い出されます。