2.「酒について」

 酒は百薬の長ともいう。
 その量と飲み方を誤らなければ、 成人してから死ぬまで、長くつきあえる素晴らしい友となるであろう。
 しかし、何にでもプラスがあればマイナスがあることは語るまでもあるまい。
 この酒を、薬にするか、毒にするかは、飲む人の心がけ次第であるのだよ。
 毒の部分をみて、これを遠ざけるのは良くないし、かといって過ぎれば これ又言うに及ばず。

 もし飲める男なら、酒の飲み方を見れば、その人格も判断できるというもの。
 飲んで周囲に不快感を与えるようなことあらば、一生の連れ合いとして、遠く及ばない。
 私生活を共にすれば、苦労の多いことを覚悟する必要がある。

 ほどほどを心がけ、「ほろ酔い」が最高と知る人は、「達人」であろう。
 但し、酒の上のこと。いつも達人でいられるかはなはだ疑問であり、若い内は無理も多い。
 この父にも、酒には苦い思い出がある。あるが、酔って自滅はしても、他人さまに 迷惑をかけるようなことはあまり無かったし、大抵はいつも楽しい酒であった。

 君たちは女性だ。
 将来を共にと考える男が現れたならば、そこはよくよく 見極める必要がある。
 世間には、普段はおとなしいが、酒を飲むとたがの外れてしまう人間も結構いるものだ。
 あまり深入りせぬ内に人間観察をしてみよう。

 特段勧めるわけではないが、女も全く飲めないよりは、ほどよく飲める方が楽しいと思う。
 しかし、何でも場を重ねると強くなるものだ。
 女として見苦しくない程度に飲んで欲しい。
 特にビールはビタミンの宝庫。
 アルコールは飲む側が責任を持ってあくまでも陽気に楽しい酒にしたいものだ。

 それから、夫がアルコールの「達人」ならば、たまにはお膳の上にでも簡単なおつまみを 添えて、一日の労をねぎらってやってくれ。 
 それだけで、幸せは、倍返しでやってくるだろう。 酒の「達人」の父からのお願いだ。

(2000年暮れ記)